2013年05月25日
5月24日の記事
長期金利への警戒感、株価・為替との位置関係がカギ
2013年 05月 23日 06:59 JST
[東京 22日 ロイター] - 長期金利が上昇基調にある中、黒田東彦日銀総裁は22日の会見で、弾力的な金融調整で市場安定に努める考えを示すなど債券市場に配慮を示したが、強い懸念を表明することもなかった。異次元緩和を背景に円安と株高が進行、成長・インフレ期待の高まりに伴う金利上昇に一定の理解を示した格好だ。今後、日銀が長期金利上昇に警戒を強めるかは、株価や為替との方向性や位置関係がカギを握る。
日銀が4月4日に大規模な国債買い入れを柱とする「量的・質的金融緩和」を打ち出して以降、国債市場は不安定な動きを続けている。緩和直後に0.3%台と過去最低水準を付けた長期金利は5月に入って一時0.9%台に上昇し、異次元緩和によってイールドカーブ全体を押し下げると明言していた黒田総裁の意に反する動きとなっている。
こうした状況で市場は金融政策決定会合後の声明文とその後の黒田総裁の発言に注目。長期金利上昇を抑制するための措置やけん制発言への期待が広がっていた。会合で具体的な対策が打ち出されることはなかったが、黒田総裁は債券市場のボラティリティ(変動率)の高さを警戒するとともに、国債買い入れなど金融調整のさらなる工夫で市場安定に努めていく考えを表明。これまで口にしていた景気回復下での長期金利上昇は「自然」とした言葉は封印し、市場への配慮を示した。
一方で、現在の長期金利の上昇を「少し」とし、「実体経済に大きな影響を及ぼすとはみていない」とも発言。日銀による長期国債買い入れでリスクプレミアムは圧縮されており、今後も長期金利には低下圧力がかかり続けると述べ、緩和効果は確実に発揮されていると自信を示した。もっとも、こうした見解は、長期国債の買い入れでタームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)は潰せるが、成長・インフレ期待の高まりに伴う金利上昇を政策で抑えつけることはできないことを示した、とも解釈できる。
日銀による異次元緩和を受けて、わずか1カ月余りで日経平均株価が1万5000円、ドル/円が100円をそれぞれ突破した。先行きの景気回復やデフレ脱却への期待を反映している可能性があり、黒田総裁も実質金利は「たぶん下がっている」とみている。このため、今後、株価の大きな調整など市場の期待が後退しているにもかかわらず、長期金利が上昇を続けるような事態にならない限り、金融調整の弾力運営の範囲内で対応する可能性が大きい。現行方針の資産買い入れを着実に進めることで、金利低下圧力など緩和効果を見極めていく姿勢とみられる。
2013年 05月 23日 06:59 JST
[東京 22日 ロイター] - 長期金利が上昇基調にある中、黒田東彦日銀総裁は22日の会見で、弾力的な金融調整で市場安定に努める考えを示すなど債券市場に配慮を示したが、強い懸念を表明することもなかった。異次元緩和を背景に円安と株高が進行、成長・インフレ期待の高まりに伴う金利上昇に一定の理解を示した格好だ。今後、日銀が長期金利上昇に警戒を強めるかは、株価や為替との方向性や位置関係がカギを握る。
日銀が4月4日に大規模な国債買い入れを柱とする「量的・質的金融緩和」を打ち出して以降、国債市場は不安定な動きを続けている。緩和直後に0.3%台と過去最低水準を付けた長期金利は5月に入って一時0.9%台に上昇し、異次元緩和によってイールドカーブ全体を押し下げると明言していた黒田総裁の意に反する動きとなっている。
こうした状況で市場は金融政策決定会合後の声明文とその後の黒田総裁の発言に注目。長期金利上昇を抑制するための措置やけん制発言への期待が広がっていた。会合で具体的な対策が打ち出されることはなかったが、黒田総裁は債券市場のボラティリティ(変動率)の高さを警戒するとともに、国債買い入れなど金融調整のさらなる工夫で市場安定に努めていく考えを表明。これまで口にしていた景気回復下での長期金利上昇は「自然」とした言葉は封印し、市場への配慮を示した。
一方で、現在の長期金利の上昇を「少し」とし、「実体経済に大きな影響を及ぼすとはみていない」とも発言。日銀による長期国債買い入れでリスクプレミアムは圧縮されており、今後も長期金利には低下圧力がかかり続けると述べ、緩和効果は確実に発揮されていると自信を示した。もっとも、こうした見解は、長期国債の買い入れでタームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)は潰せるが、成長・インフレ期待の高まりに伴う金利上昇を政策で抑えつけることはできないことを示した、とも解釈できる。
日銀による異次元緩和を受けて、わずか1カ月余りで日経平均株価が1万5000円、ドル/円が100円をそれぞれ突破した。先行きの景気回復やデフレ脱却への期待を反映している可能性があり、黒田総裁も実質金利は「たぶん下がっている」とみている。このため、今後、株価の大きな調整など市場の期待が後退しているにもかかわらず、長期金利が上昇を続けるような事態にならない限り、金融調整の弾力運営の範囲内で対応する可能性が大きい。現行方針の資産買い入れを着実に進めることで、金利低下圧力など緩和効果を見極めていく姿勢とみられる。
Posted by ヒトシ at 06:50│Comments(0)