22年ぶり高水準
国内設備投資10.3%増 非製造業、22年ぶり高水準
企業の設備投資の裾野が広がってきた。日本政策投資銀行が5日発表した2013年度の設備投資計画調査によると全産業の国内設備投資は15兆9454億円と12年度実績から10.3%増える。
非製造業は、小売りや不動産を中心に10.1%増の10兆1264億円を見込む。2ケタの伸び率は1991年度以来、22年ぶり。投資意欲を後押しするのは「消費者心理の改善や消費形態の変化に対応した投資」(政投銀)だ。
四国に進出したセブン―イレブン・ジャパンなど小売業の新規出店意欲が旺盛で、ネット販売の物流を担う施設整備や都市部の不動産開発なども押し上げた。こうした小売りや物流関連の設備投資は全産業の1割を占め、伸び率への寄与度も最大になった。
製造業は10.6%増の5兆8190億円。リーマン・ショック後に古い設備の更新を控えてきた企業が自動車を中心に前向きに転じている。
ただ、「生産能力の増強は長期的に需要の伸びが見込める海外にシフトする」(トヨタ自動車)という企業が多いのが実情。製造業の投資目的は今回の調査で「維持・補修」の比率が「能力増強」を初めて上回った。
海外設備投資は25.9%増の5兆92億円。2ケタ増は4年連続だ。自動車が引き続き新興国などでの現地生産を強化するほか、国際石油開発帝石(INPEX)などの資源開発や権益取得もけん引する。大手不動産会社の海外投資も目立つ。
昨年度の全産業の国内設備投資計画は12.2%増だったが、実績は2.9%増どまり。設備投資は為替や国内外の経済動向に左右されるため、同調査では実績が計画を下回る傾向がある。政投銀は「期待収益率が安定的に推移するかどうかがカギを握る」とみている。
調査は資本金10億円以上の大企業3237社を対象に6月に実施。このうち68%に相当する2205社が回答した。
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